広場のコンサート
ウィスコンシン室内オーケストラ
ある年の夏、私はウィスコンシン州の首都マディソンにいました。2か月ほどの滞在中でした。期間中のある日、州の議事堂前広場でオーケストラが出る屋外コンサートが開かれました。毎年の恒例行事で、演奏するのはウィスコンシン室内オーケストラ。真夏なのにからりと乾いた風が吹くさわやかな夕方でした。広場は緑一色に見事な芝が張られた公園かと見まがうばかりの広さです。市民はあちらこちらにシートを広げたり、デッキチェアを持ち出したりして開演を待ちます。その数 数千人。芝の上で聴くだけならもちろん無料です。
聴衆の中には広げたテーブルの上にワインなどを出してくつろぐ人もいます。こういう場所なら、やはりワンカップ大関よりワインですね。また、こんな場所にまで一輪挿しを持ってきて黄色のバラがさりげなく投げ入れてあります。オシャレだなあ、と私は感心しました。そうかと思えば、家から持ってきたのか屋台で買ったのか、豪華なディナーを広げる家族もいました。デッキチェアに足を伸ばし赤ワインをかたむけながら読書する若い男性はいかにも余裕です。
オーケストラはもちろんプロ。議事堂正面の一段高いところに展開され、同じ高さの両側に広がるスペースにはちょっと奮発した料金を払うとボウ・タイを締めたウェイターが運ぶ豪華ディナー付きでコンサートを鑑賞できる趣向です。YOU TUBEにコンサートの様子がアップされていました。かなりせわしないカメラですが、雰囲気はわかるかもしれません。
今回のブログになぜこんな記事を入れるかというと、私たちの社会ではちょっと敷居が高いと思われているクラシックコンサートが、アメリカの地方都市ではごく自然に市民に受け入れられている様子を伝えたかったのです。もちろん議事堂広場のような余裕のスペースがあるかないかも大事な要素です。しかも街の中心部の議事堂を取り巻く広大な一帯で、交通を遮断してまでコンサートを開催する市民の度量。とても藤枝などでは思いもよりませんね。せめて蓮華寺池公園の野外音楽堂あたりを有効に使って小さなコンサートでもいいですから、まず手始めに誰かがやってくれないかなあ、というのが私の願いです。(YONO)
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