音楽を愛する人は

音楽を愛する人は

春を愛する人は心清き人････っていう歌がありますね。「四季の歌」って言いましたっけ？ 可愛らしいというか、ほんわかした気分の愛唱歌です。これをもじって、「音楽を愛する人は」といったらどんな人がこのあとの歌詞に来るでしょう。音楽を愛するというと、ここにも「心が清く、思いやりが深く、愛情も豊かな」人を思い浮かべますがそうとばかりは言い切れないかもしれません。なにより、聴く人を感動させるオペラをつくったモーツァルトやヴェルディは、人の世の権力争いや男女の愛憎のドロドロをテーマにしています。事実、音楽家といえども普通の人以上に人間臭いのです。音楽の世界を作る人も、それを聴いて感動する人も、心の中は普通の人と同じなのでしょうね。

ヴェルディのオペラに「マクベス」がありますね。これは血を血で洗う憎しみが交錯した世界の話。昨年、私はこのオペラを一緒にやってみませんかと誘われ、「盲、蛇に怖じず」で飛び込んでみました。そのときすでに稽古を重ねていた皆さんはあるオペラ愛好団体のメンバーばかり。コーラスの一員にすぎないとはいえ、オペラで歌うなど思いもよらなかった私にとっては全くの異次元世界で目が回るほどでした。しかも出し物は愛憎渦巻く「マクベス」。音楽は格別美しいのに、難しい節回しや感情表現にネを上げて、結局公演の舞台に立つことは勘弁してもらいました。私のお粗末な一場面でした。（YONO)