音楽と外国
ド・レ・ミ・・・とA・B・C・・・
音楽と外国
東京・銀座の山野楽器など大型の音楽関係ショップに行くと世界各国、各地域の音楽CDを買うことができます。たとえば、インド・パミール高原に住む山岳部族の民俗音楽など。神田・駿河台の中古CD店などでも同じくらい珍しいCDを買うことができます。アメリカの先住民ナヴァホ族の儀式の音楽とか。こんなCDをだれが買うのでしょうね。日本は広い、いや世界はもっと広いと思わせます。
今回はアメリカ先住民の音楽を聴いてみてください。土の臭いがする響きで胸に迫ります。映像にShoshoneとあるのは北アメリカ各地に住む誇り高い先住民の一族です
ところが世界中で共通する「音楽」として親しまれているのは、やはり西洋音階によるクラシック音楽から始まって現代にいたるまで親しまれている各種の音楽ではないでしょうか。私はいまのようなCDが出るはるか以前、台湾に行った時、山岳民族のLPレコードを買ってきたことがありました。LPなのに針音が激しく、音楽の内容も含めて親しみやすいとはいえない代物でした。また、タイの民俗楽器が奏でるCDをタイの友人から戴いたことがありました。しかし正直言って、こういうものを聞いても、私たちがなじんでいる音楽はやはり西洋音階による音楽といわざるを得ません。
私はこの秋、臨時で編成されたある合唱団に属して練習に励んでいます。臨時ですから発表会が終わればそこで団は解散される運命です。その合唱団では日本人作曲家 信長貴富が作曲した「ヴィヴァルディが見た日本の四季」という混声合唱曲に取り組んでいます。この曲は随所にヴィヴァルディの「四季」の有名なモチーフが出てくるのですが、日本の古い唱歌「村祭り」「ペチカ」などがそこにかぶさるというユニークなものです。
こういう場合に面白いなと思うことは、「四季」のメロディーが織り込まれているとはいえ100%メイド・イン・ジャパンの音楽で、歌うのはまず日本人だけだと思うのに、曲想の指示記号はイタリア語でAggiacciato tremar tra neri algentoとかCelebra il vilanel con Balli e canti del felice raccolto il bel piacereなどとなっています。イタリア語に門外漢の私には何のことかさっぱり意味がわかりません。日本語が前面に出てきて当然なのに、日本の音楽界が西洋のしきたりに傾斜している一例だと思います。要するにこれが現代日本の音楽風景と言ってよいのではないでしょうか。
次に聴いてほしいのは「ヴィヴァルディが見た日本の四季」です。
いつの頃か日本に西洋音楽が渡来して、いまでは西洋音階がもっとも親しみあるものとなっています。この音階は、イタリア系でいえばド・レ・ミ・ファ・・・・ですし、ドイツ系でいえばC・D・E・F・G・A・Hとなり読み方はツェー、デー、エー、エフ、ゲー、アー、ハーとなり、英米系なら同じアルファベットでエー、ビー、スィー・・・・となります。ただし最後のHはハーではなくB(ビー)なります。そして日本ではいうまでもなくイタリア式にド、レ、ミ・・・・と学校で教わりました。ところが日本で音楽を生業としている専門の皆さん同士が音楽を語るときは「ハ長調」をいうとき「C dur(ツェー・ドゥーア)」といったり、「ソ」の音を出してほしいときに「G(ゲー)をちょうだい」なんていいます。世界の音楽事情は知りませんが、日本では東西のさまざまな知識が入り混じっているということなんでしょうね。(YONO)
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