ストリートバンド
2018/10/11
ドイツの小さな町で
もうだいぶ前のある年の8月11日。ドイツの古いペンフレンドを訪ねて一人旅の途中、私はカペルンという田舎町を歩いていました。カペルンはデンマークとの国境に近い北の町。広くない商店街にも石畳が続く静かで小さな港町です。それはのんびりした朝のことでした。現地で私を受け入れてくれた、かつてのペンフレンドだったギーゼラという女性はレジーナという友人と一緒に私から離れて歩いていました。人ごみを独り歩きしているとどこかからきれいな音楽が聞こえてきます。音のする方に足を向けると広場のあたりで3人の男たちがそれぞれ楽器を奏でています。ひとりはミュートをつけたトランペット、もうひとりはトロンボーン、そしてもうひとりは大きなチューバを抱えていました。奏でている曲は3拍子のアメリカの古い曲「ラモーナ」です。私の好きな曲でした。いろいろな演奏がありますが、この日はトロンボーンの甘くゆっくりとしたメロディーにチューバが心地よいリズムを刻んでいました。その時のような映像が見当たりませんので、少し趣きは異なりますが、アコーディオンで聴いてください。
ここに来る前にヴュルツブルクの街で聴いたのは、若い男性ヴァイオリニストが城壁の前で奏でていた「タイスの瞑想曲」。こういう場面に遭遇するとひとり旅するものののハートは刺激されます。いま思い起こしてもきれいだった。ヨーロッパではこんなストリートミュージシャンによく出会います。
さて日本。最近では静岡市の地下街で電気的に増幅した音量でいろいろなパフォーマンスをしている場面に接します。だけどあまりアカ抜けしていないなあ、というのが率直な感想です。ヨーロッパとは違うなあと思うのです。時代も国も違うのでどちらがいいというわけでもないですが、やっぱり聴いて心地よくなければ私にとっては「音楽」とは言えないと思うんですけど~。(YONO)
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